水分補給は大事だと分かっていても、日頃意識していないとこまめに水分を摂れない場合もあります。水分不足の状態を避けるために、どのようなときに水分不足に陥りやすいのかを理解し、普段から注意することが重要です。
この記事では、水分不足になりやすいシーンや症状、こまめな水分補給によるメリットを解説します。水分補給を習慣化するための方法も紹介するため、水分不足を避けたい方や、普段から水分を十分に摂れていないと感じる方は、ぜひ参考にしてください。
目次
水分不足になりやすいのはどんなとき?
厚生労働省によると、人間は1日に2.5リットルの水が必要といわれています。ただし、摂るべき水分の全てを飲み水で賄う必要はありません。2.5リットルのうち0.3リットルは体内で作られており、1.0リットルは食事から摂取できます。
つまり、飲み水から摂取するべき量は1.2リットル。必要な水分量を摂取できていないと、水分不足に陥る可能性があるため、1日1.2リットルは飲み水から摂取するよう心がける必要があります。
では、具体的に水分不足になりやすいシーンを確認しておきましょう。
運動などで汗をたくさんかいたとき
普段生活をしていても汗をかきますが、特に運動時は体温が上昇するため通常よりも多く汗をかきます。そのため、しっかりと水分補給をしないと水分不足になり、熱中症や脱水の症状が現れる危険性があります。
運動中はもちろん、運動をする前と後にも適度な水分補給が必要です。必要な水分の量は、運動の激しさや環境によっても異なります。
また、運動時だけでなく、重い荷物を運ぶときや長距離の移動などで汗をたくさんかいたときも水分が不足しやすいので、注意が必要です。
発熱しているとき
熱があると、汗をかき呼吸も荒くなるため、体内の水分が失われ、水分不足になるおそれがあります。湯冷ましや水で、こまめな水分補給を意識していくことが大切です。
また熱があるときだけでなく、下痢や嘔吐したときにも水分不足は起こります。体調が悪いときには、体内の水分が不足しないように注意しましょう。
乾燥する冬場
水分不足になりやすいのは、夏場だけではなく冬場も同様です。室内でエアコンなどの暖房器具を使用すると湿度が下がり乾燥しますが、冬場は夏場よりも水分不足を感じにくくなります。
水分不足を感じることのないまま皮膚や粘膜、あるいは呼気から水分が失われることを「不感蒸泄(ふかんじょうせつ)」と言います。安静時であれば不感蒸泄は1日約900mlといわれていますが、気温が低く、空気の乾燥した冬の環境では不感蒸泄によって失われる水分量が増えてしまいます。
水分補給を意識しにくい冬場は、知らず知らずのうちに水分不足になってしまう場合があるため、気温が低いからといって油断せず、こまめな水分補給が必要です。
暑い日の睡眠時
個人差はありますが、就寝中はコップ1杯分程度の汗をかくといわれています。特に暑い夏場は、より汗をかきやすく、睡眠中に水分不足になる可能性が高いです。
睡眠中に水分が不足すると、睡眠の質を下げる原因にもなり得ます。快適に眠るためにも、寝室の環境づくりや水分補給が重要です。
渋滞時の車中
渋滞時の車内は、狭い空間でのエアコン使用によって非常に乾燥した環境になっています。特に運転手は水分補給をしづらい上、長時間の運転による神経の疲労などにより、喉の渇きにも気づきづらいので注意が必要です。
また、ドライバーに限らず、同乗者も基本的にはシートベルトによって座席に固定された姿勢でいるので、「見えない汗」ともいわれる不感蒸泄として、水分を自然に失っている場合もあります。その為、トイレ休憩を少なくするために水分補給を控えたりせず、定期的な休憩とこまめな水分補給を意識しましょう。
体が水分不足になると起きる症状
体が水分不足になると以下のような症状が起こる場合があります。
●喉の渇き
●頭痛
●食欲がない
●むくみ
それぞれの症状を詳しく解説します。
喉の渇き
体内の水分が不足すると、まず喉の渇きを感じます。喉の渇きが進むと、脱水症状を引き起こす原因になり、運動能力の低下などの症状が出始めます。
特にご高齢の方は喉の渇きを感じにくい場合があるため、喉が乾いたと感じる前にこまめに水分を摂ることが大切です。また、先述したとおり冬場は夏場よりも喉の渇きを感じにくいため、意識をして水分補給をする必要があります。
頭痛
水分補給が十分でなく体液が不足すると、頭痛を招く原因になります。これは、水分が不足することで血液循環が悪化し、拡張した血管が周りにある神経を刺激するためです。
水分不足が進み、脱水症状によって頭痛が起こる場合があります。頭痛の原因はさまざまなケースが考えられますが、水分不足の可能性もあることを知っておきましょう。
食欲がない
体内の水分が不足すると、食欲不振、だるさ、集中力の低下などを引き起こすことがあります。
なんだか体がだるい、食欲がないなどと感じた時は、水分不足になっている可能性もあります。さらに、食欲がないときは口の渇きを感じにくくなってしまうこともあるので、注意が必要です。
むくみ
水分を摂りすぎると足や顔がむくむというイメージがあるかもしれませんが、実は水分の摂取量が不足している状態でもむくむ原因になります。
水分不足になると、体にある水分を溜め込もうと働くため、下半身に余分な水分がたまってむくんでしまいます。
水の飲み過ぎも良くありませんが、水分が不足してもむくみの原因になります。足がむくむだけでなく、つってしまう場合もあるため、水分をこまめに摂取しましょう。
こまめな水分補給のメリット
こまめに水分補給をすることによるメリットは、以下のようなものが挙げられます。
●体温調節を正常に行える
●血流の改善
●食べ過ぎ防止
●便秘改善
それぞれのメリットについて、詳しく解説します。
体温調節を正常に行える
私たち人間の身体は、汗が蒸発して身体から気化熱を奪うことで、体温を下げています。気化熱とは、液体が気化(蒸発)する時に周囲から吸収する熱のことです。つまり、しっかりと水分補給をして汗をかくことが、体温調節を適切に行うことにつながっています。
汗をかかないと熱が身体にこもってしまい、体温が必要以上に上がりすぎてしまいます。人は体温の上昇と調整機能のバランスが崩れると、どんどん身体に熱が溜まってしまい、熱中症になってしまう場合もあります。
そのため、体温が上がりすぎてしまわないように、水分をとって汗をかき、体温調節をする必要があります。夏場は特に、熱中症対策として水分補給が大切です。意識的に水を飲んで、体内に水分を保持するようにしましょう。
血流の改善
私たちの身体に流れている血液の半分以上は「血漿(けっしょう)」という液体であり、血漿の91%が水で構成されています。
そのため、水分不足になると、血液中の水分量も減少してドロドロとした血液になってしまう場合があります。
血液が十分に水分を含んでいると、全身に栄養が行き渡りやすくなります。また、代謝や細胞の活性化などにもつながるため、血液を正常に流すためにも、水分補給が重要な役割を担っています。
食べ過ぎ防止
食前や食事中に適度な水を飲むことで、消化や吸収に役立ちます。
また食事をしながら水分を摂ることで、食べる時間の中に隙間ができ、食事のペースがゆっくりになります。その結果、食べ過ぎや早食い防止にも役立つとも言われています。
便秘改善
水分の摂取量によって便の硬さは変わります。水分を摂っていないと便が固くなってしまい、便秘になることにつながります。水分は食物繊維に吸収される性質があり、便のかさを増やす役割も担っているので、適度に水分補給することが大切です。また、夜寝る前や朝起きてすぐ水分を摂ることで、便意が起こりやすくなるため、意識的に水を飲むようにしましょう。
水分補給を習慣化して水分不足を防ぐ方法
水分補給を習慣化して水分不足を防ぐ方法をいくつか紹介します。ぜひ参考に水分補給を行ってください。
●水分補給をするタイミングを決める
●水分補給した量を把握する
それぞれの方法について、詳しく解説します。
水分補給をするタイミングを決める
水分補給を忘れてしまいやすい方は、飲むタイミングを決めると良いでしょう。飲むタイミングとして、以下のような場面がおすすめです。
●起きてすぐ
●食事を摂る前
●仕事の休憩時間
●運動をする前後
●入浴前
●就寝前
水分補給を忘れてしまう場合は、上記のようなタイミングを意識して水分を摂りましょう。起きてすぐや就寝前に水を飲むために、ベッドの脇にコップやタンブラーを置いておくこともおすすめです。
スマートフォンのリマインダーやカレンダーを活用すると、通知が送られてくるため忘れずに水分補給ができます。自分に合った方法でタイミングを決めてみてください。
水分補給した量を把握する
先述したとおり、飲み水から摂取するべき量は1.2リットルといわれています。目標量を達成するためには、自分が1日にどのくらい水分をとっているか、ある程度把握することが大切です。
ノートやスマホのメモなどに、1日にどれくらい水分をとっているか記録し、目安を達成できているかチェックすると良いでしょう。記録をすることで飲み忘れを防ぎ、意識して水分補給を行えます。
まとめ
運動時や熱があるときはもちろん、乾燥しやすく喉の渇きを意識しにくい冬場も水分不足になりやすい傾向にあります。水分不足になると、頭痛やだるさなどの症状が出て、体に負担がかかるため、意識的に水分を摂って水分不足を避けることが大切です。
また、こまめに水分補給をすることで、血流の正常化や便秘の改善などに期待ができます。水分補給をする習慣がつくまでは、水を飲むタイミングを決めたり、量を記録したりすると良いでしょう。